長年疎遠だった親の遺留分請求をし、約5か月で解決した事例
当事務所に依頼する前の状況
お客様に対し、親戚から長年疎遠だったお母様が亡くなったことの連絡がありました。お母様は全財産をお母様の親戚に相続させる遺言を作成していました。
お客様は遺留分を請求したいと考えましたが、お母様の財産の状況が全く分からず、また、財産を相続する親戚とも疎遠だったため、どのように進めてよいか分からず、当事務所に相談しました。
当事務所に依頼した結果
交渉の結果、依頼から約5か月で800万円以上の遺留分の支払いを受けられました。
当事務所の活動内容
ご依頼を受けた後、お客様を代理して遺留分侵害額請求の通知を出すとともに、財産の開示を求めました。すると相手にも弁護士がついて、弁護士同士の話し合いになりました。
その後、相手の弁護士を通じて財産の開示を受けることができました。しかし、遺留分の計算方法について、お母様が亡くなる前に引き出された金銭や、亡くなったあとの経費などをどのように考えるか、相手方と当方の間で意見の相違がありました。
ところで、当事務所は、財産の調査と並行して、遺言作成当時のお母様の判断能力を調査するため、介護認定調査票の取り寄せを代行しました。そうしたところ、遺言作成当時のお母様の判断能力が必ずしも十分ではなく、遺言を無効にできる可能性があることがわかりました。
そこで、このことを相手に指摘して交渉しました。その結果、当方が希望した遺留分の額を相手が支払うことを承諾し、依頼から約5か月で遺留分全額の支払いを受けることができました。
処理のポイント
疎遠だった親族が亡くなった場合、被相続人の財産の状況も心身の状況も分からないのが普通です。そのような中で遺留分を請求していくのは難しいのではないかと心配する方が多くいます。しかし、財産は相手方から開示を受けられる場合も多く、お互いに弁護士が入ると、交渉でスムーズに進むことがあります。
また財産の開示を受けられなくても、預金については銀行から相続人の資格で取引明細を取り寄せることができます。さらに、株式などの有価証券は、証券保管振替機構(通称:ほふり)に対し、登録済加入者情報の開示請求を行うことにより、被相続人がどの証券会社等に口座を開設しているのかを調べることができます。さらに不動産については市町村に対し名寄帳を取り寄せることで、課税不動産の一覧を取り寄せることができます。このようにして遺産の概ね遺産の全体像を明らかにすることができます。
また、遺言があったとしても、遺言作成当時、作成者に遺言を理解できるだけの判断能力(遺言能力)がなければ、遺言は無効となります。そこで、介護認定調査、心療内科のカルテ、介護記録などを取り寄せて判断能力を調査し、判断能力がないことが分かれば、必要に応じて遺言無効確認訴訟を提起することになります。しかし、本件では遺言が無効であることを確実に立証できるか定かでなかったため、時間をかけて争うのではなく、遺言の有効性に疑問があることを有利な交渉の材料として、遺留分として考えられる最大限の金額で解決をすることにしました。