海外のお客様から依頼を受け、遺産分割協議を成立させた事例
相談前の状況
お母様が亡くなり、相続人はお客様と2人の姉妹でしたが、遺産である預金の分配及び不動産の売却が進まず困っていました。またお客様は、海外に移住しており、帰国することが難しい状況だったので、より一層話し合いをすすめることが困難でした。
当事務所に依頼した結果
適正な預金の分配を受けることができ、また不動産については、他の相続人に渡す代わりに、お客様は代償金を受け取ることで解決しました。
当事務所の活動内容
お客様とオンラインによるビデオ通話で初回法律相談を実施し、進め方を協議して決めた上で、委任契約を結びました。
預金については、既に他の相続人が解約をして預かっていたのですが、分配をしてもらえない状態でした。そこで、当事務所がお客様を代理して、内容証明郵便にて分配金の請求をし、また、支払いをしない場合には年5%(当時の法定利率)の割合による遅延損害金をあわせて請求することを通知しました。そうしたところ、相手方と分配金の額について協議ができるようになり、1か月程度で預金の分配を受けることができました。
不動産について、お客様は早期に換価することを望んでいましたが、他の相続人が不動産を利用していたので、すぐには売却できない状況でした。そこで、当事務所が他の相続人と、代償金を支払う方法での不動産分割の交渉をすすめ、遺産分割協議書を取り交わすことができました。これに基づいてお客様は代償金を受け取ることができました。通常、遺産分割協議に基づいて相続登記をするために、相続人全員の印鑑証明書を添付する必要がありますが、お客様は海外に居住しているため印鑑登録ができず証明書の取得ができません。そこで、遺産分割協議書のお客様のサインが本人のものであることを証明する居住国の日本領事館の証明書(サイン証明)を取得することで、遺産分割を成立させることができました。
なお、本件では税金の申告が必要だったので、当事務所と提携している税理士に依頼することで税務申告もスムーズに行うことができました。
処理のポイント
本件の特徴はお客様が外国に居住している点です。
当事務所は、これまでにも外国に居住する方からの法律相談や相続案件の依頼を受けてきたのでオンライン面談による事件処理方針の打合せのノウハウを蓄積しております。法律事務所の中には対面での面談ができないと信頼関係の構築に不安があるという理由で依頼を断る事務所もありますが、当事務所はオンライン面談が可能であれば、事件処理方針について十分に説明をし理解いただくことが可能だと考えており、複雑な案件も受任しております。
お客様の本人確認の必要から、場合によっては、委任状にお客様のサイン証明を添付していただくなどのお手数お掛けしてしまいますが、メールやオンライン面談などを通して、可能な限り分かりやすく案件の状況を説明し、お客様が安心して依頼できる体制を整えています。
本件では、法的手続までは必要ありませんでしたが、過去には、外国に居住するお客様からの依頼で、仮差押手続、競売申立手続、民事訴訟手続など複数の法的手続を行い、解決をしたケースもあります。外国に居住しており、なかなか日本に帰国することができない方も安心して当事務所をご利用ください。
なお外国に居住していると、弁護士費用のうち消費税を支払う必要がないというメリットもあります。