依頼から約1か月で遺留分約750万円を獲得した事例
相談前の状況
お客様のお母様が亡くなり、お客様と弟の2人が相続人でした。お母様は生前に全財産を兄に相続させる内容の遺言を遺しており、お客様の遺留分が侵害されている状況でした。お客様は、弟との交流は長年途絶えており、ご自身で遺留分の請求をすることは難しいと考え、当事務所に遺留分侵害額請求を依頼なさいました。
当事務所に依頼した結果
委任契約を結んでから約3週間で、弟との間で遺留分約750万円を支払う内容の合意を成立させることができ、委任契約を結んでから約1か月で実際に支払いを受けることができました。
当事務所の活動内容
本件ではお客様ご自身が、ご依頼の前に預貯金の残高や取引明細を相続人の資格で取り寄せていたので、委任の当初から遺産の全体が分かっていました。そのため、当事務所は受任の2日後に、具体的な請求額を記載した遺留分侵害額請求の通知書を内容証明郵便で送付することができました。このように具体的な請求額を記載した通知書を出すことで、民事法廷利率による利息の支払い義務も発生します。
遺留分侵害額請求の通知書は受任から3日後に弟に到達し、その後は弟と電話で交渉を続けました。
本件では不動産の評価が重要な争点となりました。弟とお客様がそれぞれ不動産業者から複数の査定を取得していましたが、双方の金額にかなり開きがありました。
ただ、不動産業者の査定は、将来売却の依頼を受けやすくするために、高めの金額になっていることが多々あります。そこで、当事務所が提携している不動産業者にも、評価額を相談し、実際にどれくらいで売れそうなのかという見通しを立てました。
そして、当事務所として妥当だと考える評価額を基準に、弟と交渉をしたところ、依頼から3週間で、遺留分侵害額の支払いに関する合意書を取り交わすことができました。
処理のポイント
遺産相続において不動産の評価が重要な争点になることが多いです。遺産の評価額について合意ができないと、遺留分の額について最終的な合意ができないため、調停手続または訴訟手続をしなければならなくなります。そして調停手続または訴訟手続になれば、裁判所が選任する中立な不動産鑑定士によって鑑定が実施されて評価額が決まります。不動産鑑定士による鑑定額は、不動産業者による査定額と大きく異なることがあるため、不動産業者の査定額に過度な期待を抱いて調停手続などを行っても、不動産鑑定士の鑑定額が思ったよりも低額で愕然とすることがあります。そうなると、せっかく法的手続をしたのに、得られた遺留分は期待したよりも少なく、費用と時間の浪費になってしまいます。不動産の評価について、交渉の段階で見通しを立てることができれば、そのような無駄がなく、かつ早期に解決できる可能性が高くなります。
不動産の評価が争点になった遺留分侵害額請求において、3週間で合意に至ることができた本件は早い解決だったといえます。