交渉で特別受益の主張が認められた事例
事案の内容
不動産の遺産分割について、被相続人の子の1人が30年以上に渡り学費や生活費の援助を受けていたため、特別受益の持ち戻しが問題となりました。
相談者は特別受益が認められる相続人に対し、代償金を支払い、不動産を取得することを希望していましたが、当人同士では話し合いが進まず、当事務所に相談にいらっしゃいました。
なお、このケースでは相続人の一部が海外に居住していたため、分割協議書の作成や不動産登記手続の進め方に工夫が必要でした。
当事務所の活動内容
相談者から依頼を受けて代理人となり、特別受益を受けている相続人と交渉することになりました。交渉をはじめる前にお客様と何回も打ち合わせを重ね、30年以上にわたる特別受益の詳細な計算書を作成しました。また、特別受益を裏付けるための通帳、領収書、ノートなどの資料も可能な限り整理しました。
そして特別受益のある相続人に対し、作成した計算書を示して、当方から支払う代償金の額を提案をしました。
結果
特別受益を受けた相続人は、当事務所の提案を受け入れ、遺産分割協議が成立しました。結局、特別受益を受けた相続人に対しては、法定相続分(4分の1)で計算した代償金の約60%を支払うことで、お客様は不動産を取得することができました。
海外に居住する相続人がいたこともあり、手続にやや時間がかかりましたが、それでもご依頼から解決までの期間は約6か月でした。
遺産分割に関する紛争は調停の申立をしなくても、丁寧な説明資料を作り、説得力のある説明をすれば、相手の理解が得られ早期に解決できる場合があります。