遺産分配請求 相続人の1人が代表して預金を出金したのに、分配を拒否している事例
事案の内容
相続人の1人が全相続人を代表して遺産である預貯金から金銭を出金して保管していたのに分配を拒否していたため、他の相続人から相談を受けました。
当事務所の活動内容
当事務所はお客様を代理して内容証明郵便で金銭の分配を要求するとともに、財産の明細を開示するように求めました。また、お客様に代わって各金融機関に遺産の残高や取引内容を照会して明細書を取り寄せました。
本件では相続人の特別受益や、相手方が引き出した預金の額などについて双方の言い分に食い違いがありました。そこで、当事務所がお客様の主張を最大限に考慮した分配金の計算書を作って相手方に示すと共に、裁判になれば敗訴する可能性がある部分を検討し、お客様にご了承をいただき計算額から少し減額した和解金の提案をしました。
裁判になれば年5%の遅延阻害金を請求することも相手に伝え、和解に応じるように粘り強く交渉しました。
結果
交渉の結果、相手方が当方の提案額に近い金額を支払うことを承諾し、和解が成立しました。資産調査のため時間を要しましたが、ご依頼を受けてからおおよそ半年で解決することができました。
処理のポイント
遺産の分配額の計算方法に法的な争いがある場合、訴訟を起こしても相手方の主張が認められてしまい、思ったよりも低い金額しか手にできないことがあります。また訴訟手続になれば追加の費用と時間がかかります。そこで、法的に強い部分と弱い部分を正確に分析したうえで、和解の落としどころを探ることが重要です。
和解の提案にあたっては、まずは当方に有利な計算書を作り(想定する落としどころよりも高い計算結果となる計算書を作り)、そこから譲歩をするというスタンスで和解の提案をすると相手が応じやすくなります。本件でもそのような方法ですすめました。
また、多くの相続事件に共通することですが、交渉の前提として、金融機関等への調査を通じて遺産全体を明確にしておくことが重要です。