会社の経営者の相続事件 限定承認を利用したケース
事案の内容
会社を経営していた社長が突然死亡し、奥様から会社清算に至る事後処理及び相続関係の処理について依頼を受けました。
亡くなった社長には前妻の子がおり、奥様は前妻の子との間の遺産分割の協議がスムーズにできるのかも心配なさっていました。
当事務所の活動内容
まず、信用情報を取り寄せるなどして財産や負債を調査したところ、隠れた債務が存在する可能性があったため、お客様を含む相続人全員に、限定承認の手続を行ってもらいました。結果として債務超過ではなかったものの、限定承認をしたことで責任の範囲が相続財産の範囲内に限定され、手続終了後に安心して生活できるようになりました。
また、会社が加入している生命保険があり、社長が亡くなったことによって数千万円の死亡保険金が会社に入ることになっていました。しかし、会社の社長(代表者)が亡くなっているため、新たな代表取締役を選任しなければ、保険金請求の手続ができません。
そこで、当事務所で代表取締役を奥様に変更するための手続をしました。
これらと平行して、前妻の子と遺産分割協議を行いました。協議の結果、代償金を支払うことで、会社の株式は全て奥様が取得することができました。なお、相続人の中に未成年者がいたため、遺産分割協議を成立させるため、特別代理人の選任の申立を裁判所に行いました。
そして、保険金を受け取った会社から奥様に死亡退職金を支給する手続を行い、奥様は数千万円の財産を手元に残すことができました。
以上の手続が全て終了したあと、会社は解散手続を行い消滅しました。
処理のポイント
本件では税金や商業登記に関する問題があったため、税理士、司法書士と連携しながら業務をすすめました。特に税理士とは密に意見を交換し、お客様に一番多く財産を残すことのできる方法を実行できたと思います。
会社経営中の社長が突然亡くなってしまうと、残された家族はどうしてよいのか途方に暮れてしまうのが普通です。このような場合、本件のお客様のように早めに専門家に相談することをお勧めいたします。