4年間解決できなかった遺産分割協議が、ご依頼後9か月で解決した事例
事案の内容
お客様のお父様がお亡くなりに、相続人はお客様と母親のきょうだい数人がいました。遺産の中に3箇所の土地があり、うち2箇所は他の相続人が使用していました。また生前に不動産の贈与を受けている相続人がおり、さらに、遺産の範囲に争いがあったため、誰がどの遺産をどのように取得するかについてそれぞれの意見が食い違い、話し合いが進まないまま4年が経過していました。
お客様は別の弁護士に依頼していたのですが、弁護士からの税務申告についてのアドバイスがなかったため、後から税務署より指摘をうけ、お客様は多額の加算税・延滞税を支払うことになりました。
一向に解決の糸口が見えないためお客様は依頼していた弁護士との委任契約を終了させて当事務所にご依頼なさいました。
当事務所の活動内容
委任を受ける際には、遺産分割調停の申立がされていたので、当事務所は調停の代理人として活動しました。
それまで話し合いが進まなかったのは、他の相続人がそれぞれ好き勝手な主張ばかりをして、大局的な観点から主張を整理して検討の土台となる分割案を作成する人がいなかったためでした。
そこで、当事務所は、当事者のそれぞれの主張を考慮に入れたうえで、遺産分割案を書面にして提出し、他の相続人に検討を依頼しました。また他の相続人に対し、無理な主張は諦めるように説得しました。また他の相続人から分割案に対する意見や希望がでれば、可能な範囲で調整して、これを分割案に反映させる作業を繰り返しました。
結果
依頼から約9か月で遺産分割調停が成立しました。その結果、お客様は約5000万円の金銭を取得できました。
処理のポイント
複雑な遺産分割は当事者の誰かが率先して主張を整理して分割案のベースを作らないと話し合いが進みません。当事務所が依頼を受けてからは、当事務所がその役割を担うことで話し合いを進展させることができました。話し合いに中心的な役割を担うことは、解決に向けて話し合いが進むだけでなく、当方のペースで話し合いを進めることもでき、当方に有利な解決を導きやすくなります。
なお、本件は遠方の事案でしたが、前に依頼していた弁護士は遺産分割調停に毎回出席しており、そのたびにお客様は日当と交通費を負担していましたが、当事務所は全ての回で電話会議システムを利用したため、交通費、日当は一度も発生しませんでした。もちろん現地で遺産を確認したり、相手と対面して交渉した方がよいことがあり、そのような時には進んで出張をしています。しかし、多くのケースでより重量なのは、適切なタイミングで適切な内容の書面を提出し、主張を整理したり、解決案を提案をすることです。無駄な費用は省きつつ、早期かつ有利な解決に導くことができるかは、弁護士の腕の見せ所といえるでしょう。