公正証書遺言の無効と多額の使途不明金を主張し、相手の提示額300万円から1200万円に増額して和解をした事案
当事務所に依頼する前の状況
お客様の祖父が亡くなり、相続人は孫であるお客様と被相続人の子らでした。公正証書遺言があり、その内容は財産を子の一人に全て相続させるというものでした。財産を取得した子は、遺留分として300万円を支払うと提案していたものの、お客様は金額が低いことに納得できず当事務所に相談なさりました。
当事務所に依頼した結果
依頼から10か月で合意が成立し1200万円を獲得できました。
当事務所の活動内容
当事務所は祖父が遺言の内容を理解していたのかを調べるため、介護認定調査票、医療記録、介護記録を取り寄せ、遺言を作成した頃の祖父の状況を確認しました。そうしたところ、遺言作成の頃の状況として「家族の顔が分からない」、「会話が成り立たない」等の記載がありました。また長谷川式簡易認知評価試験の点数も低かったことが分かりました
さらに、祖父の預金明細を取り寄せたところ、多額の生前引出による3000万円以上の使途不明金が明らかになりました。
そこで、公正証書遺言の無効を主張し、かつ、使途不明金も分配することを要求しました。そして、お客様と相談の上、1500万円で和解をすることを提案しました。 交渉の結果、相手方は1200万円を支払うことを了承したため、早期解決を優先し、この金額で和解をすることになりました
処理のポイント
公正証書遺言は公証人が遺言者の意思を確認しながら作成するため、無効にすることは一般的に難しいと考えられています。しかし、遺言者に判断能力がないことを公証人が気づかないこともあり、過去の裁判例でも公正証書遺言が無効になったケースが複数あります。最初から諦めるのではなく、地道に資料を集めてから交渉することが大切です。
遺言無効及び使途不明金について、丁寧な主張書面(詳細な資料も添付)を作成して提出することで、相手方は裁判になった場合の敗訴の可能性を考え和解に応じてきました。 裁判になった場合、もっと多い金額を勝ち取れる可能性があった一方、和解額を下回る可能性も否定できませんでした。
裁判のリスクを考えるとき、和解を選択したことは賢明だったと思います。。
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