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昔の金銭贈与と特別受益の評価方法(特別受益と貨幣価値の変動)

 

昔の金銭贈与と特別受益の評価方法(特別受益と貨幣価値の変動)

 特別受益の評価の基準時は、相続開始時(死亡時)です。

 そのため、金銭の贈与があるときで、贈与をしたときと相続開始時の貨幣価値に変動がある場合、これを考慮しなければなりません。

 たとえば1960年の100万円と現在の100万円では、購買力が異なるので、昔に金銭の贈与があった場合、貨幣価値の変動を考慮して、現在の金銭に換算したらいくらの贈与になるのかを定める必要があるのです。

 貨幣価値の変動を考慮する方法として消費者物価指数が用いられます。
 総務省のウェブサイトで消費者物価指数の時系列データを公表しているため(https://www.stat.go.jp/data/cpi/1.html)、これに基づいて計算します。

 そして消費者物価指数のうち、「持家の帰属家賃を除く総合」の指数を比較します。
「持家の帰属家賃」とは、持家に住む場合には家賃は発生していないけれど、借家と同じようにサービスが提供・消費されるものと仮定して、市場価格で評価した計算上の家賃です。

「持家の帰属家賃を除く総合」の指数をこのページの最後に載せました。

 たとえば、父から長男に、1970年に生活費として100万円を贈与し、父が2023年に亡くなったとします。


 

 

 

 

 

 

 この場合、次のように計算します。

 100万円×(107.4÷31.7)=338万8012円

 ※107.4は2023年の指数、31.7は1970円の指数です(下記の表を参照)。

 つまり長男には338万8012円の特別受益があったものとして具体的相続分を計算することになります。

 なお、遺産分割の場面においては、10年以上前の古い当別受益であっても、持戻し計算の対象になります。これに対し、遺留分侵害額請求の場面においては、死亡日前の10年以内の特別受益だけが、原則として遺産に加算される特別受益となります。

持家の帰属家賃を除く総合
19476.5
194810.9
194912.7
195012.2
195114.4
195214.9
195316.1
195416.7
195516.6
195616.7
195717.2
195817.1
195917.4
196018.1
196119.2
196220.4
196321.9
196422.8
196524.3
196625.4
196726.5
196827.8
196929.6
197031.7
197133.5
197235.2
197340.9
197449.8
197555
197660.1
197764.2
197866.4
197969.5
198075
198178.1
198279.9
198381.4
198483.2
198584.8
198684.6
198784.8
198885.3
198987.8
199090.5
199193.1
199294.5
199395.5
199495.7
199595.4
199695.5
199797.6
199897.6
199997.1
200096.3
200195.1
200294.4
200394.2
200494.2
200593.8
200694.1
200794.5
200895.7
200993.9
201093.4
201193.3
201293.1
201394.2
201497.5
201597.8
201697.8
201798.7
201899.6
2019100.2
202099.8
202199.9
2022103.7
2023107.4

 

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この記事の執筆者

弁護士 伴 広樹

経歴

神奈川県厚木市出身。1997年司法試験合格後、2000年に司法修習を修了(52期)し、弁護士登録。横浜市内の法律事務所に勤務後、2004年に伴法律事務所を開設。年間280件の相続の法律相談に対応している。
弁護士業務では①お客様の期待に沿う徹底した調査,②お客様が納得できる提案力,③お客様が安心して任せられる確実かつ迅速な処理の3つを心がけており、実際に業務に対しての評価も高い。

活動・公務など

・神奈川大学非常勤講師(2009年9月~2016年3月)
・明治大学リバティアカデミー(市民講座)講師(2015年~2016年)
・横浜弁護士会(現神奈川県弁護士会)常議員(2009年4月~2010年3月)
・一般社団法人神奈川健康生きがいづくりアドバイザー協議会神奈川健生成年後見センター運営委員会委員(2015年8月~)
・セミナー講師としての活動 川崎市役所,東京地方税理士会保土ヶ谷支部,神奈川県宅地建物取引業協会横浜中央支部,神奈川青年司法書士協議会など各種団体におけるセミナー講師を担当

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