遺産の内容がわからなくて困っている方へ
他の相続人が遺産を隠したり、遺産の内容を教えてくれないということは、相続トラブルでは少なくありません。
たとえば、被相続人と同居していた子が遺産の全てを管理し開示しない場合や、被相続人の後妻が遺産を把握しているのに隠す場合などです。
このような場合には、弁護士から、遺産を管理している相続人に対し、遺産の開示を求めることで、任意の開示を受けられる場合も多々あります。
しかし、遺産を管理している相続人が、それでも遺産の開示を拒んだ場合、どうすればよいのでしょうか?
結論からを言うと遺産を管理している相続人に対し、強制的に遺産内容を開示させる手段や手続はありません。相続人の一人が遺産を開示してくれない場合、ご自身で遺産の調査を行う以外に、遺産の内容を把握する方法はないのです。
以下では、遺産調査を行う具体的な方法についてご説明いたします。
①遠方の案件(被相続人、関係者、裁判所等が遠方の案件)、②遠方から依頼する案件(お客様が遠方にお住まいの場合)の両方とも積極的に取り扱っています。
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預貯金の調査方法
被相続人が口座を持っていた銀行、信用金庫、信用組合、農協などが分かれば、相続人としての資格で、残高証明書及び預金(貯金)取引の明細を取り寄せることが可能です。
支店が分からない場合でも、全店検索をしてもらえる金融機関があります。
被相続人が取引していた銀行等が分からない場合、残念ながら、全ての金融機関を網羅的に調査する方法はありません。被相続人が取引をしていた可能性がありそうな銀行等に対して、個別に、照会をすることになります。
被相続人がどの銀行等と取引をしていたのか全く心当たりがない場合には、インターネット上のマップなで、居住地近くの金融機関を調べ、個別に照会をしていくことになります。
金融機関からは、残高だけでなく、過去10年程度の取引明細書を取り寄せることができます。そこで、残高証明書だけでなく、取引明細書も取り寄せ、どのような入金、出金があったのかをチェックすることをお勧めします。
被相続の生前に多額の金銭が預貯金から引き出され、特定の相続人が着服している場合や、特定の相続人に高額な生前贈与がなされている場合があるからです。
また、取引明細から、保険契約、証券会社との取引などが判明することがあります。
なお、相続人であれば、普通は、一人であっても金融機関に対して預金取引明細、残高証明書の発行を依頼することが可能ですが、すべての遺産、あるいは当該預貯金を、特定の相続人へ相続させる旨の遺言が存在する場合、預金内容の開示を拒否する金融機関もあります。
不動産の調査方法
被相続人名義となっている不動産を調べたい場合、市区町村から固定資産の名寄帳(なよせちょう)を取り寄せる方法があります。名寄帳は、課税の対象となっている固定資産(土地・家屋)を所有者ごとに一覧表にまとめたものです。
名寄帳は、市区町村ごとに作成されるものなので、複数の市区町村に不動産を保有している、あるいは保有している可能性がある場合、すべての市区町村に対して取得を請求する必要があります。
また、名寄帳は過去5年分程度(市区町村により差があります)を取得することができるので、既に贈与や売買によって被相続人の名義でなくなってしまった不動産であっても、過去の名寄帳を調べることで判明することがあります。
相続人であれば、一人でも役所に対して名寄帳の取得を請求することが可能です。
名寄帳により土地建物が判明した場合、登記情報を調査することで、権利関係を調べることができます。登記情報は、一般に公開されている情報なので、相続人はもちろん他人であっても調べることが可能です。登記情報はインターネットで取得することができるので、調査は非常に簡単です。
不動産の権利関係が分かったら、不動産業者の査定を取得するなどして、不動産のおおよその実勢価格を調べます。
上場株式等の調査方法
被相続人が取引していた証券会社、信託銀行等が分かっている場合、証券会社等に対して、個別に、相続開始時及び現時点における残高証明書の発行を依頼します。
被相続人が取引していた証券会社等が分からない場合、証券保管振替機構(通称:ほふり)に対し、登録済加入者情報の開示請求を行うことにより、被相続人がどの証券会社等に口座を開設しているのかを調べることができます。そこから判明した証券会社等に対し、個別に、相続開始時及び現時点における残高証明書の発行を依頼します。
また、あわせて顧客口座元帳を取り寄せることで、過去の証券等の売買の動きを知ることができます。
負債の調査
被相続人に借入等の負債がある場合、債権者の金融機関や業者が分かっていれば、相続人としての資格で個別に照会することで、債務の内容について回答が得られます。
しかし、どこの金融機関や業者に対して負債があるのか分からない場合には、信用情報機関(CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センター)に照会することで、信用情報機関に登録されている負債を確認することができます。
当事務所の遺産調査サービスのメリット
当事務所にご依頼の場合、弁護士が代理人として遺産の開示を求めます。ご本人から開示を要請しても、相手が感情的になっている場合などは、任意の開示が期待できないことが多いです。このような場合、弁護士が依頼者を代理して開示請求をすることで、開示を受けられる可能性があります。
また、相続人としての資格で、上記のとおり個別に調査を行う場合、必要書類、照会の方法は、照会先により異なるので、いちいち問い合わせをして確認する必要がありますし、そもそも、問い合わせをどこに行えばよいのかも調べる必要があります。
必要書類が揃ったと思って、いざ銀行等の窓口に出向いても不備を指摘されることがよくありますし、平日の日中に銀行等の窓口へ出向くとなると仕事を休む必要も出てきます。必要書類が揃っていても、窓口で1時間以上も待たされるということもめずらしくありません。
そのため、ご自身で遺産の調査を行う場合、多大な時間と労力を費やす必要があります。
これに対し、遺産調査を弁護士へ依頼する場合、委任状等、弁護士が依頼する書類に署名・押印をし、印鑑証明書を添付して弁護士へ提出すれば、後はすべて弁護士が代行するため、依頼者が費やす時間と労力は劇的に軽減されます。
また、弁護士であれば、照会自体も、効率的に漏れなく行うことができるため、遺産調査のためにかかる期間はご自身でなされる場合と比較して大幅に短縮し、また、不完全な調査をしてしまい2度手間になることがありません。
①遠方の案件(被相続人、関係者、裁判所等が遠方の案件)、②遠方から依頼する案件(お客様が遠方にお住まいの場合)の両方とも積極的に取り扱っています。
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遺産調査の弁護士費用
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