訴訟手続き
訴訟手続きが必要になる場合
訴訟手続きを利用する場合として次のような場合があります。
1 遺産の範囲の確認
たとえば預金が相続人の1人の名義になっていて、その預金が遺産に属するのか否か争いがある場合に行う遺産確認訴訟など
2 遺言の有効無効に関する紛争
たとえば判断能力がないの者により作成された遺言が無効であることの確認を求めて行う遺言無効確認訴訟など
3 遺留分侵害額請求
遺留分を侵害されたため他の相続人に金銭の支払いを求める遺留分侵害額請求訴訟(調停を先に行うのが原則ですが、調停成立の見込みがない場合、調停をせずに訴訟を提起することもまります)
4 相続前の金銭の使い込み
たとえば相続人の中に生前に被相続人(亡くなった方)の財産を無断で使い込んだ者がいる場合、その相続人に対して提起する不当利得返還請求訴訟
5 相続人であるか否かの紛争
認知無効確認訴訟や親子関係不存在確認訴訟など
上記の1~4の紛争については、交渉により解決方法の合意ができれば訴訟手続を回避できます。当人同士では話し合いができない場合でも弁護士に依頼することで、訴訟を提起せずに交渉で解決できることが多くあります。弁護士に交渉を依頼するメリットはこちらをご覧下さい。
上記の5については、当事者の承諾が得られれば訴訟より簡易な調停・審判手続で解決をはかることができます。
訴訟手続きの流れ
民事訴訟は相続に関する紛争だけでなく、様々な紛争について利用されます。
以下は地方裁判所における民事訴訟の大まかな流れです。訴訟の進行は事案によって異なるので、 あくまでも参考としてご覧下さい。また、 簡易裁判所の訴訟手続き(訴額140万円以下の場合は簡易裁判所となります) では少し異なる部分があります。
訴訟提起
訴状を裁判所に提出し、事件番号が決まります。
第1回期日
訴訟提起からおおよそ1か月後に第1回めの期日が開かれます。
被告は、第1回目の期日に限り、答弁書を提出しておけば、その内容を主張したものとして扱われます。そのため、欠席をしても被告に不利益はなく、第1回目の期日に被告が欠席することはよくあることです。
続行期日
第2回目以降は、おおよそ1か月ちょっとに1回のペースで期日が開かれます。期日にあわせて、互いに主張書面(準備書面)を提出していきます。また、これと並行して証拠となる書面(書証)も提出していきます。
主張→反論→再反論→再々反論などと書面を提出していきますので、双方の言い分が出揃うまでに半年~1年くらいかかることも珍しくありません。
なお、裁判の期日は弁護士が出廷するので、お客様は原則として尋問期日を除いて出席する必要はありません。
証人尋問、当事者尋問
主張や書証が出揃い、争点がはっきりとしたら証人や当事者の尋問の期日が開かれます。普通は1、2回の期日で集中的に実施されます。
弁論終結
尋問の結果を踏まえた最終準備書面を提出して弁論終結となり、判決期日が指定されます。審理終結から判決期日までの期間はまちまちですが、概ね1~3か月程度です。
判決言渡
控訴
判決に不服がある場合、判決正本を受け取ってから2週間以内に高等裁判所に控訴することができます。控訴をせず、かつ控訴されることもなければ第1審の判決が確定して効力が生じます。これによって解決となる場合もあれば、さらにその後の対応が必要となる場合があります。
和解の話し合い
上記の期日の途中で、適宜、和解の話し合いもなされます。
特に、双方の主張や書証が出揃った頃、尋問手続きが終わった頃に、裁判所から和解を薦められることが多くあります。
和解が成立すれば訴訟手続きはそこで終了となり、紛争解決となります。
当事務所のサービス
訴訟手続きは専門的な知識と経験が必要です。お客様の代理人として訴訟提起、主張書面及び証拠書類の提出、期日への出席など訴訟手続き全般を行います。
訴訟手続きの弁護士費用
弁護士費用のページをご覧下さい。